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2024.3.10 ノロウイルスについて
ノロウイルス感染症とは?—症状・診断・検査・治療について
ノロウイルス感染症は、ウイルス性胃腸炎の代表的な原因で、特に冬季(11月~3月)に流行します。感染力が非常に強く、少量のウイルスでも発症**するため、家族内や施設内での集団感染が起こりやすいのが特徴です。
ノロウイルスの症状
ノロウイルスに感染すると、24~48時間の潜伏期間を経て、以下の症状が現れます。
– 激しい下痢(水のような便、血便は通常なし)
– 吐き気・嘔吐(特に子どもに多い)
– 発熱(軽度で38℃以下が多い)
– 腹痛・腹部の張り
– 倦怠感
通常は1~3日で自然に回復しますが、高齢者や乳幼児では脱水症状が重症化することがあるため注意が必要です。
ノロウイルスの診断と検査
1. 臨床診断(症状と流行状況から推測)
ノロウイルスは特徴的な症状と流行状況から、臨床的に診断されることが一般的です。
2. 便検査(遺伝子検査・抗原検査)
確定診断には、便中のウイルスを検出する**PCR検査や迅速抗原検査があります。
※当院では施行できません。
一般的な診療では確定診断が不要な場合が多く、重症例や集団感染時に検査が実施されます。
ノロウイルスの治療
ノロウイルスに有効な特効薬はありません。
そのため、対症療法が中心となります
1. 水分補給(脱水予防)
– 経口補水液(OS-1など)をこまめに摂取
– 嘔吐がひどい場合は、少量ずつゆっくり摂取
– 重度の脱水時は、点滴補液を検討
2. 食事管理
– 消化に良いものを少しずつ摂取(おかゆ・うどん・スープなど)
– 乳製品や脂っこい食べ物は避ける(胃腸への負担を減らすため)
3. 解熱剤・整腸剤の使用
– 高熱が続く場合はアセトアミノフェン(カロナールなど)を使用
– 整腸剤(乳酸菌製剤)は使用可能だが、下痢止めは推奨されない(ウイルスの排出を遅らせるため)
ノロウイルスの感染予防
ノロウイルスは非常に感染力が強いため、予防が重要です。
1. 手洗い・消毒の徹底
– 石けんと流水で30秒以上の手洗い(アルコール消毒は効果が弱い)
– 次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)での消毒
2. 食品の加熱処理
– 85℃以上で90秒以上の加熱(カキなどの二枚貝は特に注意)
3. トイレ・嘔吐物の処理
– 嘔吐物はペーパータオルで拭き取り、次亜塩素酸ナトリウムで消毒
– 使い捨て手袋・マスクを着用し、処理後は必ず手洗いを実施
当院での診療について
– 症状がひどい場合は、点滴治療が可能です。
– 脱水症状が疑われる場合は、適切な水分補給を指導いたします。
「下痢や嘔吐が続く」「食事や水分がとれない」「家族が感染している」など、不安な方はお気軽にご相談ください。
参考文献
– 厚生労働省 「ノロウイルスに関するQ&A」
– 日本感染症学会 「ウイルス性胃腸炎診療ガイドライン」
– CDC 「Norovirus: Prevention and Control」