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2024.2.14 脂質異常症とは
脂質異常症とは
脂質異常症は、血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪のバランスが崩れた状態を指し、動脈硬化や心血管疾患のリスクを高める疾患です。特に自覚症状が少ないため、早期の発見と適切な治療が重要になります。
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脂質異常症の診断
脂質異常症の診断は、主に血液検査によって行われます。日本動脈硬化学会の診断基準では、以下の値が診断の目安とされています。
– 高LDLコレステロール血症:140 mg/dL以上
– 低HDLコレステロール血症:40 mg/dL未満
– 高トリグリセリド血症:150 mg/dL以上
これらの基準に該当する場合、脂質異常症と診断されます。特に高LDLコレステロール血症は、動脈硬化の主要な原因とされ、放置すると脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるため、定期的な検査が推奨されます。
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脂質異常症の検査
- 血液検査
総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪を測定します。空腹時採血が推奨されますが、随時採血でも診断が可能です。
- 頸動脈エコー検査(当院で実施可能)
脂質異常症による動脈硬化の進行度を評価するために、頸動脈エコー検査を行うことができます。
– 頸動脈の血管壁の厚みを測定し、動脈硬化の進行具合を評価します。
– プラーク(血管のつまりや狭窄)の有無を確認します。
– 無症状のうちから動脈硬化のリスクを把握できるため、心筋梗塞や脳梗塞の予防に役立ちます。
脂質異常症のある方、血圧が高い方、糖尿病のある方は、頸動脈エコー検査を受けることでより詳細なリスク評価が可能です。
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脂質異常症の治療
- 生活習慣の改善
– 食事療法
飽和脂肪酸(揚げ物や肉の脂身など)を減らし、魚や大豆製品を積極的に摂取します。食物繊維を取り入れ、コレステロールの吸収を抑えます。
– 運動療法
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を1日30分以上行うことが推奨されます。
– 禁煙・適度な飲酒
喫煙はHDLコレステロールを低下させるため禁煙が推奨されます。また、過度の飲酒は中性脂肪の増加につながるため、適量を守ることが重要です。
- 薬物療法(医師の診断に基づき処方)
生活習慣の改善だけではコントロールが難しい場合、脂質異常症のタイプに応じた薬物療法を行います。
– スタチン系薬剤(リピトール、クレストールなど):LDLコレステロールを効果的に低下させます。
– フィブラート系薬剤(ベザフィブラート、フェノフィブラートなど):中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを増やします。
– エゼチミブ:コレステロールの吸収を抑制し、LDLコレステロールを低下させます。
– PCSK9阻害薬(注射製剤):重症の脂質異常症に対して使用される新しい治療法です。
薬物療法は、医師の指導のもとで適切に行うことが重要です。自己判断での中断は動脈硬化の進行を早める可能性があるため、継続的な管理を行いましょう。
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当院での脂質異常症の診療について
– 血液検査・頸動脈エコーによる正確な診断
– 最新のガイドラインに基づいた適切な治療
– 生活習慣の指導や栄養相談の実施
コレステロールが高いと言われた方、動脈硬化が心配な方は、お気軽にご相談ください。当院では、脂質異常症の診断・治療に加え、頸動脈エコー検査を行い、動脈硬化のリスクを総合的に評価します。
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参考文献
– 日本動脈硬化学会「動脈硬化診療ガイドライン2023」
– 日本循環器学会「脂質異常症治療ガイドライン」