pyloriピロリ菌検査
ピロリ菌Pylori
ピロリ菌について
~はじめに~
Q1 外来ですぐにピロリ菌の検査ができますか?
クリニックで多くの方から質問されますが、ピロリ菌の感染診断だけをおこなうことは、保険診療では認められていません。内視鏡検査でピロリ感染胃炎の診断と胃がんのスクリーニングをおこなったのちに、ピロリ菌感染の検査をおこない除菌治療をおこないます。どうしてもご希望の場合には自費診療となりますが、おすすめできません。少なくとも胃がんのチェックは必須であると考えられるからです。
ピロリ菌について
~年代別感染率~
ピロリ菌について
~どうやって感染するの?~
ではなぜ、強酸の胃のなかで生息することができるのでしょうか?
ピロリ菌はウレアーゼという酵素により、胃の粘液中の尿素からアンモニアを生じ、周囲の胃酸を中和して、胃内で生存しています。同時に、このアンモニアが消化管粘膜障害と関連しているのです。
Q2 外来ですぐにピロリ菌の検査ができますか?
ピロリ菌の感染経路ははっきりとは解明されていませんが、経口感染と考えられています。
”昔は井戸水を飲んでいたから絶対に感染している”と来院される方がときどきいらっしゃいます。たしかに、以前は飲水などを介した感染が考えられていましたが、衛生環境の整った現在では、そのような方は少数です(今、井戸水を飲んで暮らしている方はあまりいませんよね。)。幼少期における親との接触(離乳食の口移し)などが原因と考えられています。
また、キスなどで感染することを心配される方がいますが、ピロリ菌の感染は幼少期に成立すると考えられおり、成人における感染は、一過性感染で終わるとことが多いため、あまり心配する必要はないのではないでしょうか。むしろ、相手(自分?)が感染しているときは、除菌して毎年内視鏡検査を受けることをすすめます。
ピロリ菌について
~どうやって検査するの?~
内視鏡検査を要さないものとしては、採血、採尿でピロリ抗体を調べる検査、便中のピロリ抗原を調べる検査、尿素呼気試験があります。
胃がん検診やドックでは採血の項目の中にピロリ抗体が含まれていることが多いです。
特に、尿素呼気試験は検査時間は30分程度で呼気を調べるだけなので侵襲もなく、信頼性も高い検査です。空腹時におこなう検査なので、午前中なら朝食を食べないで、午後なら昼食を食べないで来院すればよいので準備も簡単です。
クリニックでは内視鏡検査で、ピロリ感染胃炎と診断したあと、同日すぐ尿素呼気試験を受けることが可能です。
ピロリ菌について
~どうやって除菌するの?~
除菌の判定はいずれも除菌治療薬内服後、4週以降におこないます。
除菌判定は信頼性が高い尿素呼気試験をおこなうことが一般です。
Q3 3次除菌は?
3次除菌は保険診療では認められていません。3次除菌をご希望の場合には自費診療となります。
現時点で比較的効果の高いといわれている抗生剤(シタフロキサシン)を使用して除菌をおこないます。70~70%の除菌率となります。
ピロリ菌について
~除菌の副作用は?~
便が少しゆるくなる程度であれば、慎重に薬の服用の継続は可能と考えられますが、下痢がひどい場合や血便、皮疹を認めた場合にはすぐに病院を受診するようにしてください。
除菌治療をはじめる前にペニシリンアレルギーといわれたことがある方は必ず申し出るようにしてください。
Q4 ピロリ菌の再感染はありますか?
除菌成功後の再感染率はまれ(0~2%)です。
ただし、胃がんの早期発見のためには定期的な内視鏡検査が必須です。
除菌によって胃がんの予防効果は示されていますが、完全にゼロになるわけではありません。