gastroenterology消化器内科
消化器内科Gastroenterology
消化器内科は、食道・胃・十二指腸
・大腸などの消化管および、
肝臓や胆のう、膵臓などを
幅広く専門的に診療します。
消化器は皮膚などと比べ、
体外からは見えない疾患が中心となります。
症状も多彩なため、
問診や症状に応じた診察を行い、
必要に応じて血液検査、レントゲン検査、
腹部エコー検査、
胃・大腸内視鏡、
などを用いて診断します。
胃腸炎などの急性疾患や、
胃がんや大腸がんなど命に関わる
重大な疾患も存在しています。
少しでも症状が見られるときは我慢せず、
お気軽にご相談ください。
消化器の症状と疾患
食道、胃、十二指腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓などの病気に関して専門的な診療を行っております。
このような症状がある方はご相談ください
- 胃の痛みや不快感
- 胸やけ
- 吐き気・嘔吐
- 食欲不振
- 便秘
- 下痢・軟便
- 下血・血便
- 残便感・排便困難
- 便が細い
- 腹部膨満感
- みぞおち・背中の痛み
- 黄疸(皮膚や目が黄色くなった)
- 全身倦怠感
- 体重減少
- 健診・がん検診異常(便潜血反応陽性、バリウム異常所見、ピロリ菌陽性、肝機能異常など)
日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。お腹の不調や気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
胃食道逆流症(GERD)、非びらん性食道逆流症、逆流性食道炎
内視鏡検査で食道粘膜の障害を認めない非びらん性胃食道逆流症(NERD)と、食道粘膜の障害を認める逆流性食道炎に分類されます。
報告にもよりますが、逆流性食道炎は4~20%くらいの有病率といわれています。

内視鏡検査 | ||
---|---|---|
胃食道逆流症 (GERD) |
非びらん性 食道逆流症(NERD) |
食道粘膜 障害なし |
逆流性 食道炎症 |
食道粘膜 障害あり |
主な症状
胸焼け、呑酸、胸痛、つかえ感、逆流症状、げっぷなどが主な症状ですが、食道以外の症状として、のどの違和感や声枯れを感じることがあります。
これらの症状は、日常生活の質を低下させる原因にもなります。例えば、「長時間の会話や食事の後に喉が痛む」「夜間に胸焼けで目が覚める」など、患者さんの生活に影響を及ぼすことが少なくありません。また、慢性咳嗽や気管支喘息の原因となることもあります。
原因
胃食道逆流は、食道粘膜が胃酸の過剰な暴露によって引き起こされます。
胃粘膜は胃の粘液により胃酸から防御する仕組みをもっていますが、食道にはそのような防御機構がないため、胃酸が触れると痛みや灼熱感を感じやすいのです。
食べ物を嚥下すると、食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋が緩むことによってスムーズに食べ物が胃の中に送り込まれますが、その後、胃から食道への逆流を防ぐために括約筋が締まります。この括約筋の緩みが高頻度に起こる、または括約筋が十分に機能しない場合、胃酸が逆流して不快な症状を引き起こします。「特に食後や横になるときに症状が強くなる」と感じる方が多いです。また、腹圧の上昇などによっても逆流が生じると考えられています。
リスク
肥満、食道裂孔ヘルニア(食道と胃のつなぎ目である食道裂孔が緩んでいる状態)、妊娠、喫煙、生活習慣(暴飲暴食、油の多い食事、飲酒やコーヒー)が悪化の原因となります。
また、60歳以上の女性では脊椎の後弯変形がリスク因子とされています。患者さんからは「年齢を重ねてから症状が強くなった」との声を聞くことも多く、適切な診断が重要です。
検査
上部内視鏡検査(胃カメラ検査)

内視鏡検査では、食道粘膜障害を認める逆流性食道炎か、食道粘膜障害を認めない非びらん性胃食道逆流症(NERD)を調べます。また、食道裂孔ヘルニアの存在も確認します。同時に胃の観察もおこない、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎の有無を確認することができます。「検査が苦手な方には、事前に丁寧に説明し、不安を軽減するためのサポートをおこなっています」。
内視鏡検査で食道粘膜障害が認められた場合には逆流性食道炎と診断され、重症度としてLos Angeles分類(LA分類)がよく使われます。
また、食道内酸逆流の評価には24時間pHモニタリング検査も有用です。この検査では、鼻から胃の中に細い管を挿入し、食道と胃の中のpHを24時間測定します。(当院では施行できないため、ご希望の際は適切な専門医療機関をご紹介します。「検査が必要な場合でも、患者さんが安心して検査を受けられるよう、フォロー体制を整えています」)。
治療
症状のコントロールが治療の目標となります。
頻度は低いものの、合併症として貧血、出血、食道狭窄、バレット食道、さらには食道腺癌の発生があります。症状のコントロールに加えて、合併症の予防も重要です。
生活習慣の改善
- 禁煙
- 体重のコントロール(肥満による腹圧の上昇がリスクを高める)
- 食事や生活の見直し
暴飲暴食、脂肪分の多い食事、甘いもの(チョコレートなど)、刺激物、飲酒は避けるようにしましょう。1回の食事は時間をかけてよく咀嚼し、胃への負担を軽減することが大切です。「患者さんからも、食事の見直しで症状が緩和した」との声を多くいただいています」。また、食後2~3時間は横にならないようにしましょう。
薬物療法
制酸剤(PPI)の内服をおこないます。PPIは優れた症状改善および食道炎の治癒効果があり、安全性も高いため、第一選択薬として推奨されています。比較的すみやかに症状の改善が認められることが多いですが、症状に応じて薬の用量調整や維持療法の適応を検討します。「薬を使った治療についても、患者さんの不安や疑問に丁寧にお答えします」。
大腸がん

主な症状
早期には自覚症状がほとんどありません。
進行するにつれ、病変の大きさや場所により症状がでます。以下の症状が出たら要注意です。
- 排便習慣の変化。たとえば下痢や便秘、便の性状や形状の変化
- 血便
- 腹部の不快感、張り、痛み
- 倦怠感
- 体重減少
リスク
40歳代から増加し始め高齢になるほど高くなります。
ただし、20代や30代でもみつかることがあるため注意が必要です。
家族歴のある方、糖尿病、肥満、喫煙、多量飲酒、赤肉や加工肉などはリスクが高くなるといわれています。
検診
便潜血による検診があります。
便潜血検査は安全、簡単、安価な検査です。
横浜市では40歳以上の横浜市民を対象に年度に1回実施できます。
便潜血検査で陽性となるのは約7%で、そのうち2~3%に大腸がんがみつかります。
便潜血検査を受けた人のうち、1000人に1~2人です。
検査が陽性の場合には大腸内視鏡検査をおこなうことをおすすめします。
ただし、便潜血が陰性であったとしてもポリープやがんが全くないということにはなりません。進行大腸がんであっても約30%は便潜血検査陰性と報告されています。このことには注意が必要です。
診断
大腸内視鏡検査の挿入が難しい場合にはカプセル内視鏡やCTコロノグラフィー などの他の検査をおこなうこともあります。

治療
治療方法はがんの進行度合いで異なります。
内視鏡治療、手術、化学療法、放射線療法などがあります。
リンパ節転移のほとんどない早期の大腸癌であれば、内視鏡検査時に発見してその場で切除することが可能なこともあります。
ただし、切除した病変の病理検査をおこない、がんの進行度合いを確認したのちに、後日追加の手術が必要になることもあります。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは、胃粘膜に炎症などの器質的異常が見つからないもかかわらず、胃痛やみぞおちの痛み、胃もたれ、早期膨満感(少ししか食べていないのに満腹になる)などの症状が3か月以上何度も起こる病気です。世界中で多くの方が悩まれている病気で、日本では人口の約10人に1人が経験していると言われています。
かつては神経性胃炎と診断され、炎症を抑える治療薬が処方されていましたが、炎症は起きていないため治療効果がありませんでした。しかし、現在では機能性ディスペプシアと診断され、適切な治療を行えるようになりました。

原因
機能性ディスペプシアの原因ははっきりとは分かっていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 胃の運動の異常
- 胃の痛みを感じやすい状態(知覚過敏)
- ストレスや不安
- 食事の問題(早食い、不規則な食事など)
- 腸内細菌のバランスの乱れ
- 遺伝的な要因
診断・検査
機能性ディスペプシアは、胃粘膜に炎症などの器質的異常が発見されないにもかかわらず、不快症状を繰り返します。炎症や潰瘍、がんなどでも同じ症状が起こるため、鑑別検査として胃カメラ検査を行います。また、血液検査やピロリ菌の検査なども必要に応じて行います。これらの検査で重大な病気が見つからない場合に、機能性ディスペプシアと診断されます。
治療
機能性ディスペプシアの治療では、生活習慣の改善と薬物療法が行われます。それぞれの患者さんの症状や生活習慣に合わせて、最適な治療法を選択します。
生活習慣の改善
以下のような点に気をつけることが大切です
- 規則正しい食事時間を心がける
- よく噛んでゆっくり食べる
- 過度な脂っこい食事を控える
- 十分な睡眠をとる
- 適度な運動を行う
- ストレス解消法を見つける
薬物療法
症状や原因に応じて、以下のような薬物治療を行います
- 胃の運動を改善する薬
- 胃酸の分泌を抑える薬
- 胃の痛みを和らげる薬
- 漢方薬
- 必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬
最近の研究では、腸内細菌を整えるプロバイオティクスの効果も注目されています。また、認知行動療法などの心理療法が効果的な場合もあります。
ピロリ菌が見つかった場合は、除菌治療をおすすめします。除菌治療により症状が改善す
る可能性があるだけでなく、胃がんの予防にもつながります。
急性胃炎
胃の働きには、食べたものを一時的に留めておき、消化したり殺菌したりする働きがあり、このときに必要となるのが胃液です。胃液には胃酸と、消化酵素であるペプシンが含まれていて、胃に入ってきたものを溶かす働きがあります。
胃液にはとても強い酸性の性質があり、胃の壁でも溶かしてしまう力があります。しかし、胃の内側にある粘膜は粘液でおおわれており、この粘液の働きによって胃粘膜は守られています。胃の中は本来、攻撃因子となる胃酸やペプシンなどを含む胃液と、防御因子となる粘液とのバランスが整えられており、胃粘膜が胃酸によって傷つけられることはありません。しかし何らかの理由によってこのバランスが崩れてしまうと、胃粘膜は胃液(胃酸)によって傷つけられ、炎症が起こるとされています。

急性胃炎の原因
急性胃炎を起こす原因としては、次のようなことが考えられます。
- ストレス(精神的ストレス、身体的ストレス、どちらも胃炎の原因となる)
- 刺激が強い飲食物(香辛料、高濃度アルコール、熱すぎる・冷たすぎるもの、カフェインを含むものなど)
- 暴飲暴食(食べ過ぎ・飲み過ぎ、不規則な食事時間など)
- 薬剤の副作用
- 細菌感染や食中毒
- 食物アレルギー
- ウイルス感染
- その他の病気(腎不全や肝硬変などの全身性疾患)
- 寄生虫(魚介類に寄生しているアニサキスが胃粘膜から胃壁に入りこむなど)
診断・検査
急性胃炎の確定診断を行うために必要な検査に、胃カメラがあります。胃カメラは、口や鼻から細い管を入れて、食道、胃、十二指腸を内側から調べることができます。管の先端についたカメラを使い、体の中の様子をモニターに映し出しながら、直接目で見てその状態を確認していきます。急性胃炎の検査としては、びらんや出血、潰瘍など、胃粘膜の状態の評価を行います。当院では内視鏡専門医による苦痛の少なく安心かつ安全な胃カメラ内視鏡検査を行っております。
治療

さらに、症状を和らげるために、胃酸の分泌を抑える作用があるお薬などによる、薬物療法を行うこともあります。吐き気や嘔吐の症状が強い場合には、水分摂取も難しくなることがありますので、点滴を行うこともあります。
急性胃炎の原因がアニサキスである場合は、内視鏡検査を行う際に、胃壁に入りこんだアニサキスを除去することもあります。
なお、急性胃炎の治療で第一に必要とされるのは、原因となるものごとを取り除くこと(回避すること)です。規則正しい生活を送ることや、刺激物の飲食および過労やストレスを避けることが治療でもあり、急性胃炎の予防にもつながります。特にストレスをコントロールすることは、胃を守るためにとても大切です。精神的、肉体的なストレスが加わると、胃壁が傷みやすい状態になったり、神経系を刺激することで血流が悪くなったり、胃を守る働きが低下することがわかっています。ストレスをためないためには十分な睡眠をとり精神を安静にしましょう。
慢性胃炎
日本人の場合、約70%の人が慢性胃炎であるといわれています。その多くは、胃の粘膜が薄くなってしまう萎縮(いしゅく)性胃炎です。

慢性胃炎の原因
かつての慢性胃炎は、原因不明あるいは加齢に伴う現象であると考えられてきました。しかし、ヘリコバクター・ピロリ菌が発見された後、慢性胃炎との関係性が明らかとなり、現在では慢性胃炎の大半はヘリコバクター・ピロリ菌の感染によるものであるということが分かっています。
通常の菌は、胃の中に入っても強力な胃酸によって生きながらえることができず、すぐに死滅をしてしまいます。しかし、ヘリコバクター・ピロリ菌は特殊な酵素を持っており、アンモニアを発生させることができます。これによって胃酸から身を守り、生きながらえていくことができるのです。
慢性胃炎のまま放置していると、大多数は慢性胃炎のままですが、数%の人は胃潰瘍や十二指腸潰瘍になります。ごくわずかですが、胃がんになる人もいます。
ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していても、すぐに胃がんになるわけではありませんが、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染して慢性胃炎となり、この状態を無症状だからといって放置し続けると、胃の細胞が萎縮し、萎縮性胃炎となります。この萎縮した胃の細胞が将来的にがん化する可能性があるため、注意が必要なのです。
症状
慢性胃炎の症状の多くは、みぞおちの痛み、胃部不快感、吐き気といった上部の消化器症状です。胃部不快感としてよく見られるのが、胃のむかつき、むねやけ、胃もたれといった症状です。これらの症状は胃潰瘍や胃がんなどでもみられることがあります。
また、すべての方に症状が出るというわけではありません。無症状であるために慢性胃炎となっていることに気づかず経過していき、検査などで指摘される場合もあります。
治療

さらにもう1つ行われるのが、ヘリコバクター・ピロリ菌検査です。この検査は専用の検査薬を服用した後に専用の袋に呼気を集めて検査する方法や、血液あるいは糞便を採取してその中にいるヘリコバクター・ピロリ菌を調べる方法などがあります。
尚、慢性胃炎には根本的な治療方法がありません。症状がない場合には治療をせずに経過を見ていくこともあります。
しかし、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が原因である場合は、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療を行います。
十二指腸炎・びらん
軽症ではあまり症状はなく、胃カメラ(内視鏡)を行ってたまたま見つかることもありますが、程度が強くなると、みぞおちや背中の痛み・吐き気・不快感などの症状が現れることがあります。
またひどくなると出血を伴ったり、痛みや吐き気で食事がとれなくなったりすることもあるため、症状が気になる時には胃カメラ(内視鏡)を行い他の病気の有無も含め状態をチェックすることが重要です。

十二指腸炎・びらんの原因
原因としては、次のようなことが考えられます。
- ピロリ菌による粘膜障害
- ストレスによる胃酸分泌過多
- アルコール
- アレルギー
- 炎症性腸疾患
- 腰痛や頭痛に対しての痛み止め(ロキソニン・アスピリン)などの薬剤の副作用
症状
- みぞおちや上腹部の痛み
- 背中の痛み(十二指腸は体の背側にあるため背中が痛むことがよくあります。)
- 吐き気、不快感
などが起こることがありますが、軽症の場合は無症状のことも多いです。
治療
そのような場合は様子を見ることがありますが、みぞおちや背中の痛みなどがある場合は治療を行います。
- 生活習慣の改善:食べ過ぎやアルコールやカフェイン、刺激物の摂取を控える。
- 薬の内服:胃酸分泌過多を抑える制酸剤、十二指腸の粘膜を保護する粘膜保護剤、などを用います。
また、前述の痛み止め(ロキソニンなど)による薬剤性の十二指腸炎や、アレルギー性紫斑病などの原因となる疾患がある場合は、そちらの治療を行いつつ粘膜保護剤や制酸剤を投与します。
感染性腸炎

診断
- 便検査:便の中の病原体(細菌やウイルス、寄生虫)を特定します。
- 血液検査:炎症の程度や脱水の状態を確認します。
- 内視鏡検査:症状が長引く場合や血便などで他の疾患が疑われる場合には、内視鏡検査を実施することがあります。
当院では、患者さん一人ひとりの症状に応じて最適な検査を組み合わせ、迅速かつ正確な診断を心がけています。
治療
脱水の予防と対処
- 感染性腸炎の治療で最も重要なのは、脱水症状を防ぐことです。当院では、軽症の患者さんには経口補水療法(ORS)を推奨し、重症例では点滴を行います。
薬物療法
- 抗菌薬:細菌性腸炎(例:カンピロバクター、サルモネラなど)の場合、必要に応じて抗菌薬を使用します。ただし、軽症の場合は自然治癒することも多いため、慎重に判断します。
- 抗ウイルス薬:ウイルス性腸炎(例:ノロウイルス)では、特効薬はありませんが、症状を緩和する治療を行います。
- 整腸剤:腸内環境を整えることで症状の改善を図ります。
生活指導
- 感染性腸炎の回復を早めるためには、食事や生活習慣の見直しが大切です。脂肪分の少ない消化の良い食事を心がけ、十分な休息を取りましょう。
予防方法
- 手洗いを徹底する(特に食事の前やトイレの後)。
- 生肉や魚介類は十分に加熱する。
- 生水を避け、衛生的な水を使用する。
- 食材の保存方法に注意し、食品を適切に管理する。
当院の取り組み
「突然の下痢や腹痛で困っている」「食中毒が心配」という方は、ぜひ当院にご相談ください。専門の消化器内科医が、安心して治療を受けられる環境を整えてお待ちしています。
虚血性腸炎

症状
- 突然の下腹部痛(特に左側)
- 血便や下血
- 吐き気や嘔吐
- 発熱
虚血性腸炎の原因とリスク因子
虚血性腸炎の原因は、大腸の血流不足ですが、以下のようなリスク因子が影響することがあります。
- 動脈硬化(血管の硬化により血流が低下します。)
- 便秘(腸管内の圧力が増し、血流を阻害します。)
- 脱水状態(水分不足により血液が濃縮され、血流が低下します。)
- 高血圧や心疾患(血流障害を引き起こす要因となります。)
- 特定の薬剤(利尿剤や便秘薬などが関与することがあります。)
診断
- 問診と身体診察:症状の経過や既往歴を詳しく伺い、腹部の触診を行います。
- 血液検査:炎症の程度や脱水状態、貧血の有無を確認します。
- CT検査(必要に応じて):必要に応じて腹部のCT検査を行い、腸管の状態や血流不足を確認します。
- 内視鏡検査(必要に応じて):症状が強い場合や診断が困難な場合には、大腸内視鏡検査を行い、腸粘膜の状態を直接観察します。
治療
- 保存療法(軽症の場合):絶食や水分補給を行い、腸を休ませます。点滴で栄養や水分を補うこともあります。
- 薬物療法:痛みを和らげる鎮痛薬や、感染が疑われる場合には抗菌薬を使用します。
- 外科治療(重症例の場合):腸管の壊死や穿孔が起きた場合には、緊急手術が必要です。
再発予防と日常生活での注意点
虚血性腸炎の再発を防ぐためには、日常生活の見直しが大切です。
- 水分を十分に摂取する
- バランスの良い食事を心がける
- 便秘を予防する(食物繊維を多く含む食事を取り入れる)
- 過度な飲酒や喫煙を控える
当院の取り組み
「突然の腹痛や下血が気になる」「過去に虚血性腸炎を指摘された」という方は、ぜひ当院にご相談ください。専門の消化器内科医が、患者様の健康を全力でサポートします。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
昔は再発を繰り返すことから、完治が極めて難しい疾患だと思われてきました。手術が行われることも多かったのですが、近年では新薬が開発されたり研究が進んで原因が解明されたりするようになったため、内服治療だけでほぼ完治できる疾患となりました。

原因
症状
潰瘍が進行した場合には、出血や穿孔を伴うことがあります。胃・十二指腸潰瘍の下血の場合、タール便と言って、コールタール様のどす黒い便が出ることが多いです。また、出血をきたした場合、痛みが無いこともありますので、症状が無いからといって心配ないとは言えません。
検査
当院では、出来るだけ患者様の苦痛を和らげる目的で、患者様の希望に応じて鎮痛剤(眠たくなるお薬)を使用して内視鏡検査を行っています。
治療

ピロリ菌が陽性なら除菌治療を行い、陰性なら再発予防のため維持療法で内服治療を継続します。
昔のように外科治療が必要になることは極めて稀です。出血が止まらない、潰瘍が穿孔して腹膜炎を併発した、潰瘍を繰り返して胃の出口が狭くなり、食物が通過しづらい場合などは手術することがあります。
胆石症
肝臓は内臓の中で一番大きな臓器で、この肝臓で1日に約500~800mlの胆汁が作られます。この胆汁は胆管を通り膵管と合流し、膵臓から排出される膵液と共に十二指腸へと分泌され、脂肪や炭水化物の消化を助けています。 胆のうは食べ物の消化吸収を助ける胆汁を溜める役割を持ちます。

原因
その胆石症では体質や日々の食事習慣も関係してくると言われています。食生活の欧米化に伴い脂肪分を多く含む食べ物がよく好んで食べられるようになり、胆石症を発症される方は増加傾向にあります。今では成人日本人の約10人中1人は胆石を持っていると言われています。しかし胆石を持っているからと言って必ずしも症状が現れる訳ではありません。症状を感じない事もあります。
症状
その他の症状としては、吐き気や嘔吐、身体の倦怠感、肌や白目部分が黄色くなるなどの症状も発症する事があります。また胆汁が排出されず胆のう内で炎症を引き起こした際は高熱症状に至ります。
検査
血液検査
血液検査を行い、炎症反応や肝臓系酵素(AST、ALTなど)や胆道系酵素(ALP、LAP、γ-GPT)の上昇していると胆石が存在している可能性をあります。胆石が総胆管の出口を塞ぎ、黄疸や急性膵炎などを引き起こしている時はビリルビン値やアミラーゼ値の上昇が確認できます。
画像検査
最も標準的な方法が超音波検査(エコー検査)です。超音波検査では胆のう結石や肝内結石を確認する事ができ、 CT検査よりも優れています。CT検査は石灰化した胆石の検出や胆のう周囲で発症している炎症を知る上で有用な検査となります。