横浜内科おなかクリニック

allergy花粉症

花粉症Allergy

スギ花粉症はスギ花粉が原因(アレルゲン)となっておこるアレルギー疾患です。
主にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどのアレルギー症状を伴い、その症状によって日常生活のさまざまな場面で影響を及ぼすことがわかっています。
日本人の約4人に1人がスギ花粉症ともいわれています。
また、ダニ、真菌(カビ)、昆虫、ペットの毛などが原因となり季節に関係なくアレルギー症状があらわれる疾患を通年性アレルギー性鼻炎といいます。
スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、アレルゲン免疫療法があります。
アレルゲン免疫療法は、100年以上も前から行われている治療法です。アレルギーの原因となっているアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげたり、日常生活に与える影響を改善するなどの効果が期待されます。近年では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。
「舌下免疫療法」は、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが治療を受けることができます。最初は少ない量から開始し、次第に量を増やしていきます。

スギ花粉症の診断

スギ花粉症は、問診と皮膚反応テストや血清抗体検査(血液検査)などの検査結果から総合的に診断します。

スギ花粉症の治療

スギ花粉を避けることが基本になりますが、必要に応じて薬物療法やアレルゲン免疫療法、手術療法などをおこないます。

アレルゲン免疫療法

舌下免疫療法の手順は舌下(ぜっか)、つまり舌の下に1日1回、スギ花粉のエキスを含む少量の治療薬の服用をはじめ、その後、決められた一定量を数年間にわたり継続して服用します。アレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、根本的な体質改善が期待できる治療法です。
そのようなアレルゲンを口の中に入れるなんて、と心配に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、治療薬はもともと注射用に使われている薬と同じ成分ですので、極めて安全につくられております。
治療薬を少量から始めて徐々に増やしていくと、これまで体が花粉を害のある異物として認識し、自分の体を防御するために鼻炎などの過剰な反応を起こしていたのが徐々にやわらいでいきます。
このようにアレルギー反応を起こさないように仕向けていくことで、スギ花粉症を治癒に導いていきます(なお、上記はスギ花粉症の治療法であり、その他のアレルギーには効果が期待できません)。
舌下免疫療法は時間をかけた継続的な治療が必要で、まずは2年間ほどこの治療を行い、効果を確認します。そこである程度効果の得られた方には、3~5年間の治療をお勧めいたします。
舌下免疫療法で完治するのは10~20%で、また、程度の差はありますが全体の70~80%の人に効果があるといわれています。治療の副作用(口内炎やアレルギー反応など)が起きる可能性がありますので、医師の診断のもとで行っていく必要があります。
花粉症のシーズン以外であったり、外出時だけでなく室内でもアレルギー性鼻炎や目のかゆみなどの症状がある方は、ハウスダスト(家の中のちり)やダニがアレルゲンとなっている可能性があります。
このうち主にアレルギーの原因となるのは、ヤケヒョウヒダニ・コナヒョウヒダニといった通称チリダニと呼ばれる種類のダニです。室内の布団や畳、カーペットなどに棲みついているそれらのダニの分泌物や糞、死骸が人間の体内に入ることでアレルギー反応を引き起こします。
ダニアレルギーの原因となるダニの数は室温や湿度が上がる夏に最も増加し、それに伴って秋から冬にかけてアレルゲンの量がピークを迎えます。これらのアレルギー体質がある場合、一年中症状が現れる「通年性アレルギー性鼻炎」となることがあります。血液検査にてダニアレルギーと診断されましたら、減感作療法薬であるダニ舌下錠の処方が可能です。現在、ダニアレルギーの舌下免疫療法についても保険適応となります。ご希望の方は当院までお問い合わせください。

治療開始時期

安全性の観点から、アレルギー反応が強まる時期は避けて投与します。スギ花粉であれば、飛散が始まる直前や飛散時期に治療を開始することはできません(6~12月の間に、治療はスタートします)。ダニアレルギーについては通年で治療を開始できますが、ダニやその死骸が増える梅雨時~秋に症状が悪化しているようであれば、時期をずらした方がよいでしょう。

服用期間

1日1回、スギ花粉が飛んでいないシーズンも含めて毎日、少なくとも2年、できれば3~5年続けます。ダニ舌下錠についても同様です。

服用方法

スギ花粉を含むエキス(シダトレン)を舌の下に滴下し2分間保持、ダニ舌下錠の場合は錠剤を舌の下に1分間保持します。その後は飲み込みます。服用の後5分間は、うがい・飲食を控えます。

服用期間

  • 口の中の副作用(口内炎や舌の下の腫れ、口の中の腫れ、かゆみ、不快感など)
  • せき、鼻水、喉の痛み
  • 咽喉(のど)のかゆみ、刺激感、不快感
  • 耳のかゆみ
  • 頭痛 など

重大な副作用

  • ショック
  • アナフィラキシー

健康保険について

2014年10月以降にスギ花粉症の舌下免疫療法、2015年12月以降にダニアレルギーの舌下免疫についてそれぞれ健康保険が適用されております。

  • 治療期間が長期でも、アレルギー症状の治癒(スギ花粉やダニへのアレルギーがなくなること)を望む方
  • 飲み薬やスプレーをしても、症状が改善しない方
  • 飲み薬で、眠気などの副作用がひどく使用をやめたい方
  • 花粉症・アレルギー症状の薬がたくさん必要なので、減らしたい
  • 毎年花粉症・アレルギー症状に悩みたくない
  • 数年内に妊娠の希望や予定は無いが、将来的に妊娠した際に薬が使えないのが不安
  • 大学などの受験期がスギ花粉症の時期と重なるので、少しでも症状を改善しておきたい

舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)を詳しく知りたい方へ「トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ」もご覧ください。

トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ